こんにちは、bittokoinn.tokyoです。
投資家の方や自分の事業を持っている方と話すとよく話題に上がるのが、タイトルの「金を稼ぐなら投資か事業か」という話であり、本日はこれについて短文ポエムを書きたいと思います。

なお、最初にタイトルの問に対する自分の考えを書いておくと、「個別の場合によって異なり一概には言えない」と考えています。ITバブル時代から現在の巨大テック銘柄を握りしめていれば、並大抵の事業経営より儲かりますし、短期的なタピオカバブルなどに乗っかって事業経営ができれば大抵の個別銘柄への投資よりも儲かるということもあるでしょう。場合によるというのはつまらない回答ではありますが、これは事実です。

また、問いを「儲かるか」ではなく「再現性があるか」などに変えたとしても、やはり場合によるという回答になると考えていますが、なぜそう考えているかについてはまた別の機会に書きたいと思います。

投資と事業は二項対立ではない

さて、この話題はビジネス系Youtuberなどの動画でもしばしば取り上げられる話題であり、よくある結論としては、

  • 投資はタネ銭が必要
  • だから事業でタネ銭を作りましょう
  • 事業のためにもタネ銭が必要なのでそのために給与労働をしながら節約してタネ銭を作りましょう
  • タネ銭があまり必要がない副業をやるのもいいですね

的なものです。

一方、自分としては投資と事業はそもそも二項対立的に切り分けられる概念ではなく、上手くいっている投資は事業的な側面を多分に持っていますし、反対に上手くいっている事業も投資的な側面を多分に持っているように思います。

例を挙げると、

  • 投資
    • 2017年〜現在まで続くクリプト投資・投機で美味しいリターンを十分に取ろうとすると、それはもはや投資・投機というよりは事業と言ったほうが正しい
      • なぜなら、クリプト市場でリターンを得るためには、広く深いインプットとリスクを取りながらのアウトプットを必要とするから
    • 空き家の不動産を安く仕入れて、それにリフォームを施して客付けし、バリューアップして高く売るのは投資というよりは事業である
  • 事業
    • 受託開発事業の経営の中で、広告で案件獲得をブーストしたり、人を雇って組織拡大することは投資に近い
      • なぜなら、金銭的リスクを取って別の資産を購入し、将来のリターンに賭けるという行為が投資的だから
    • ブームに乗ってタピオカ屋やマスク転売を始めるのは投機に近い(筆者は投機に対して特に悪い印象を持っておらず、タピオカ屋やマスク転売をやっている方を批判する意図はありません)

といったようなものです。

なぜ「投資より事業」「事業より投資」と主張する人がいるか

上記のように、投資と事業は切り分けられる概念ではないにも関わらず、「事業より投資」「投資より事業」といった主張はしばしばネットや書籍などで散見されますし、投資家・事業家との日常会話でもよく話題に上がります。
これについて自分がなぜかと考えを巡らせた結論としては、以下の3点であると思っています。

  • 人は自分自身のこれまでの成功体験を強烈に信仰しているから
  • 自分がやっていることこそが正しく効率的であると周囲に認めさせ、その行動を選択した自分の権威性を高めたいから
  • そもそも投資と事業の定義が各々で異なるままに話をしているから

1点目について、事業をやっていてそれでうまくいっている人は、自分が投資のような博打(実際にはそんなことはなかったりしますが。)に手を出さず、事業に集中してきたからこそうまくいっているし、それこそが自分の適性がある分野なのだと信じていますし、投資家としてうまくいっている人もまた然りです。

2点目について、「事業より投資」「投資より事業」的な言葉は、成功者の自叙伝的な文章の中で語られることが多く、「おれは/わたしは、こんな考えでこのように行動したからこそ、今があるのだ」的なドヤが少なからず入っているように思います。

3点目について、そもそも投資家と言っている人によく話を聞くと、そのへんの労働者よりも勤勉に情報収集と行動を続けていて、それは一般にイメージされる株を買って寝て待っているような投資とは大幅にずれている、というようなそもそもの定義のずれがあるままに議論をしてしまっていることが多分にあるように感じています。また、投資家・事業家それぞれに

  • 投資家:自分は投資によって効率よく財を成したのだとドやりたい
  • 事業家:自分はこんな苦労をして頑張ったから報われたのだとドヤりたい

という個人的な思いがあるために、このような定義のずれを修正しないままに議論を進めることになりがちなのだと考えています。

「投資より事業」「事業より投資」は話半分で聞く

ここまで書いたとおり、「投資より事業」「事業より投資」どちらの主張も、主張をする本人の様々なバイアスがかかっています。
どちらの方向においてもまだまだ道半ばの持たざるものたる自分としては、これらの主張は話半分に聞きつつ、自分の活動にプラスになりそうなところは取り入れて人生に生かしていきたいと思います。